中途失聴・難聴者とは
幼少時から聞こえづらい人や、突発性難聴や老人性難聴に加え、鼓膜や聴神経などの障害や薬物、事故、騒音などの原因により、聞こえが不自由になった人のことです。
そして、その障がいの程度も千差万別です。不便さ、社会での生きづらさも外見からではわかりづらく、社会的な理解や支援が遅れています。
聴覚障がい者は600~800万人いると言われています。聴覚障がい者は手話でコミュニケーションしていると思われがちですが、手話を主たるコミュニケーション手段とされている方は2割に満たないのです。
聴覚障がい者の多くは中途で障がいを持った中途失聴・難聴者です。
コミュニケーション手段としては補聴器や人工内耳を装用して残存聴力を生かす方法や、筆談、要約筆記、身ぶり、口の動き、手話、指文字などのいろいろな視覚情報などがあります。視覚情報では 文字を使ったコミュニケーションが有効です。
そんな私達、中途失聴・難聴者にとって、要約筆記による意思疎通支援はかけがえのないものです。
一口に難聴と言っても、その聞こえ方は様々です。
音は聞こえても何を言っているのかわからない、音が歪んで聞こえる、高い声が聞き取れないなど、その症状により、補聴器の効果のない難聴もあります。また、体調や心理状況、周りの環境にも影響されることがあります。
中途失聴・難聴者の場合、聞こえていたものが聞こえなくなったという「喪失のイメージ」が大きく、障がいを持った現実を受け入れにくく、隠してしまう傾向があります。
中途失聴・難聴者の悩み ~中途失聴・難聴者はこんなことに困っています~
- 途中から聞こえなくなったが、どうしていいかわからない
- 「私は耳が聞こえない」となかなか言えない
- 補聴器になじめない
- 周囲の話が聞こえず、コミュニケーションができないので、不安でとけこめない
- 電話ができずに不便である。本人確認の電話があっても対応できない
- 職場で電話が使えなかったり、コミュニケーション不足であったりするため、かなりストレスを感じる
- 職場で聞こえないことから仕事の範囲が狭くなることがあり、それを理由に、異動させられたり、昇進の機会を失ったりする
- 一般社会では筆談やゆっくり話すなどのきちんとした対応してくれない
- 先生の話が聞こえず、勉強が嫌いになった
- 緊急放送や避難誘導、案内のアナウンスなどがわからない
- 字幕が少なく、劇やテレビ、映画のセリフがわからず、楽しめない
- 手話がなかなか覚えられない
- 政見放送や国会中継などの内容がわからない
- 名前を呼ばれるとき、緊張する。呼ばれても聞こえず、返事をしないと後回しにされる
- 常に聞き落とすまい、見落とすまいと緊張しているので、気が安まらない
- マスクをかけて話されると、聞き取りづらく、又、口元が見えないので、困る
今の社会は日常生活や職場の中でもまだまだ不便なことがいっぱいあります。
「聞こえません」というと、大きな声を出す人が多いのですが、大声を出せば聞こえるというものではありません。
大声は 補聴器や人工内耳を装用している場合は、かえって聞き取りづらくなることがあります。
正面からゆっくり、はっきり、口元を見せて、話すとコミュニケーションが取りやすくなります。
また、必要に応じて、身振りや指さし、筆談の対応も必要です。
耳マーク
耳マークの普及活動
聞こえが不自由なことを表すマークです。
耳の不自由な方と話すときは「はっきりと口元を見せて話す」・「筆談をする」などの配慮をお願いします。
活用例、グッズなど、詳細についてはこちらへ【一般社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会】
会員の声
困った経験 (Yさん 中途失聴者)
エアコンの修理をお願いするためにメーカーの連絡先を調べました。
でも、電話番号の記載しかなく、聞こえなくて電話がかけられない私には連絡できません。
仕事中の夫にメールで連絡し、電話をかけてもらいました。
このように連絡先は電話番号の記載だけというところが多く、急いでいるときなど、特に困ります。
FAX番号やメールアドレスなども記載してほしいです。
嬉しかった経験 (Kさん 中途失聴者)
買い物のとき、店の人の言うことが聞き取れず、困っていました。
「聞こえないので書いてください」とお願いしようとしたところ、隣にいた見知らぬ方が携帯電話の画面に文字を入力して、通訳してくださったのです。
おかげでお店の人が言うことも理解できて、買い物ができました。
見知らぬ方でしたが、とっさに気転を利かせて対応してくださり、本当に有り難くて、感激しました。